射影行列

射影行列(projection matrix)

射影行列は射影(projection)を表す。

射影の簡単な説明

(TODO: 図でもっと分かりやすく)

• であって、光を一定方向で当てて、移る影を考える。そのとき三次元(dimension)物体からその影を得る関数(function)が射影
  • ${\mathbb{R}}^3\to {\mathbb{R}}^3$
• 単に要素(element)の抜き出し、例えば ${\mathbb{R}}^3\to \mathbb{R}$ であって、 $(x,y,z)\mapsto y$ は射影
  • これも射影と呼ぶべきものだが、ここでは自己準同型射(endomorphism)であるものを考える。たとえば、
    • $(x,y,z)\mapsto (0,y,0)$
    • $(x,y,z)\mapsto (y,0,0)$
    • $(x,y,z)\mapsto (x,y,0)$

射影行列の定義

行列(matrix) $P$ について、以下の定義はすべて射影行列の定義を与え、同値である。

• 1. 羃等性(idempotence): $P^2=P$ を満たす。
• 2. $P$ と $I-P$ の像(image)が空間$V$の直和分解(direct sum decomposition)を与える。つまり、 $P\mathbb{x}=(I-P)\mathbb{x}\Rightarrow \mathbb{x}=\mathbb{0}$ 。別の書き方をすれば、 $V=\mathrm{Im}\left(P\right)\oplus \mathrm{Im}(I-P)$。
• 3. $P$ は、ある射影作用(action)素の表現行列(transformation matrix)である。
  • 線形写像(linear map) $f:V\to V$ であって、 $V=V_1\oplus V_2$ であるとき、「$f$ が $V_2$ に沿った $V_1$ への射影である」というのは、直和分解 ${}^{\mathrm{\forall }}\mathbb{v}={}^{\mathrm{\exists }!}{\mathbb{v}}_1+{}^{\mathrm{\exists }!}{\mathbb{v}}_2$ のとき、 $f(\mathbb{v})={\mathbb{v}}_1$ が成り立つことをいう。
  • $V_1$ を固定したとしても、沿わせる空間 $V_2$ の取り方は任意性がある。
    • 直交射影(orthogonal projection)の場合は、直交補空間は一意であるから、このとき $V_2$ は一意に定まる。
• 4. 固有値(eigenvalue)として $0,1$ のみを持ち、対角化(diagonalization)可能な行列

定義の同値性の証明

TODO

射影行列の例

• 零行列(zero matrix): 原点に向かって、全空間に沿わせて射影する
• 単位行列(identity matrix): 全空間に向かって、0次元に沿わせて射影
• $1\times 1$ の行列の場合、 $(0)$ と $(1)$ のみ
• $\left(\begin{array}{cc}1& 1\\ 0& 0\end{array}\right)$: デカルト座標系で左上から右下に照らし、X座標に射影する
• $\left(\begin{array}{cc}1& 0\\ 0& 0\end{array}\right)$: 真上から照らす

練習: 2次元のときに、直線$x=y$に対し、真下から照らす射影

線形性(linearity)より標準基底を考えて、 $P{\mathbb{e}}_0=\left(\begin{array}{c}1\\ 1\end{array}\right)$, $P{\mathbb{e}}_1=\left(\begin{array}{c}0\\ 0\end{array}\right)={\mathbb{e}}_0+{\mathbb{e}}_1$ が成り立つ。
よって $P=\left(\begin{array}{cc}1& 0\\ 1& 0\end{array}\right)$

練習: 2次元のときに、X座標への射影で、角度$\theta$の光の場合の射影行列はなにか

線形性より標準基底を考える。
X軸への射影で、光線の方向がX軸の正の向きとなす角を $\theta$ （ただし $\sin \theta \mathrm{\ne }0$）とすると、
$P{\mathbb{e}}_0=\left(\begin{array}{c}1\\ 0\end{array}\right)$, $P{\mathbb{e}}_1=\left(\begin{array}{c}-\cot \theta \\ 0\end{array}\right)$ が成り立つ。
よって $P=\left(\begin{array}{cc}1& -\cot \theta \\ 0& 0\end{array}\right)$。

これはちょうど、

$\left(\begin{array}{cc}1& a\\ 0& 0\end{array}\right)$ ($a\in \mathbb{R}$) と対応する。この形は、$a$によって決まる角度でX軸に射影する。